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友田 陽大
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小規模事業者持続化補助金でホームページ・ECは作れるか【発注者ガイド】

小規模事業者持続化補助金でホームページ・ECサイト・予約システムは作れるか。ウェブサイト関連費の位置づけと上限規定、販路開拓が主目的である点、一人社長向けの設計を発注者目線で解説します。

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著者
友田 陽大
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小規模事業者持続化補助金でホームページ・ECは作れるか【発注者ガイド】

結論から言うと、「作れる。ただし2つの壁がある」。 ホームページ・ECサイト・予約システムは、小規模事業者持続化補助金の「ウェブサイト関連費」として補助対象になり得ます。しかし第20回(2026年)公募要領では、(1) ウェブサイト関連費だけでは申請できず(単独申請不可)、補助金申請額の上限が30万円(税込) に制限され、(2) この補助金の主目的はあくまで 「販路開拓」 で、サイトは売上につながる取組の“手段”として位置づけられます。「補助金でリッチなサイトを丸ごと作る」という発想だと、まず外れます。

本記事は、システムやサイトを発注する側(一人社長・小規模事業者)が、補助金の設計思想を理解して発注前に意思決定するためのガイドです。数字や枠組みは公募回ごとに変わるため、最終確認は必ず公式の公募要領で行ってください。

早見表:発注者がまず押さえる5点(第20回・2026年)

論点要点発注者への含意
補助率2/3(赤字事業者の賃金引上げ特例は3/4)3分の1は自己負担
補助上限(通常枠)50万円。特例で最大250万円まで上乗せサイトだけに全額は使えない
ウェブサイト関連費の上限補助金申請額30万円(税込)/単独申請不可サイトは“他の販路開拓費と組み合わせて”申請
主目的販路開拓(=売上・新規顧客につながる取組)会社PR・単なる作り替えは対象外になり得る
資金繰り補助金は後払い・50万円以上は処分制限財産一度は自己資金で立て替える

⚠️ 上表の金額・枠名・スケジュールは第20回公募要領(第7版・2026年5月27日)時点のものです。公募回ごとに改定されるため、申請前に必ず最新の公募要領でご確認ください。

1. そもそも「持続化補助金」は何のための制度か

発注者が最初に理解すべきは、この補助金は「サイト制作費の補助金」ではないということです。公募要領は制度の目的をこう定義しています。

本補助金事業は、小規模事業者等が自ら策定した持続的な経営に向けた経営計画に基づく、販路開拓等の取組や、販路開拓等と併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するもの

キーワードは 「経営計画」「販路開拓」 です。つまり順序はこうです。

① 自社の経営を見つめ直し、経営計画を策定する
        ↓
② 「新しい顧客・販路をどう獲得するか」を決める
        ↓
③ その手段としてサイト・EC・予約システムが必要なら発注する
        ↓
④ かかった経費の一部(2/3・上限あり)が後から補助される

「サイトが欲しい → 補助金を探す」ではなく、「販路を広げたい → その手段がサイト → 補助金が使えるか」という順番でなければ、審査でも実務でも噛み合いません。

対象者:まず自社が「小規模事業者」か

補助対象になるのは、業種ごとに常時使用する従業員数が下記以下の事業者です(会社役員・同居親族従業員はカウント外)。一人社長や数名規模はまさにこの制度の主対象です。

業種常時使用する従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)5人以下
サービス業のうち宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

2. 補助率と上限:サイトに使える“実額”はいくらか

通常枠の骨格は次の通りです。

区分内容
補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
補助上限(通常枠)50万円
インボイス特例+50万円(要件を満たす免税→適格請求書発行事業者等)
賃金引上げ特例+150万円
両特例を満たす場合+200万円(合計最大250万円)

注意点として、特例は「上乗せ分だけ」の話ではありません。インボイス特例を希望して要件を1つでも満たさないと、上乗せ分だけでなく補助金全体が不交付になります。特例で背伸びするより、まず通常枠50万円を堅く狙うほうが発注者にとっては安全です。

3. ウェブサイト関連費の位置づけ:ここが最大の勘所

サイト・EC・システムの費用は、対象経費8種類のうち ③ウェブサイト関連費 で計上します。第20回公募要領の定義はこうです。

販路開拓等を行うためのウェブサイトや EC サイト、システム(オフライン含む)等の開発、構築、更新、改修、運用をするために要する経費

そして発注者が絶対に見落とせない制約が2つあります。

  • ウェブサイト関連費のみによる申請はできません。 必ず、ほかの経費と一緒に申請します。
  • 当経費の補助金交付申請額の上限は30万円(税込)です。

「30万円の壁」を発注者の言葉に翻訳する

ここは誤解が多いので丁寧に。上限30万円は“補助金として受け取れる額”の上限であって、サイトの発注額そのものの上限ではありません。補助率2/3で単純計算すると、ウェブサイト関連費として補助対象に載せられる発注額の目安はおおむね 45万円前後 になります(30万円 ÷ 2/3 ≒ 45万円。税の扱い・端数処理で変わるため、実額は必ず公募要領・事務局で確認)。

つまり実務上はこう考えます。

100万円のフルスクラッチECを作りたい
   → 補助対象に載るのは「販路開拓に直結する部分」の一部
   → そのうち補助金として戻るのは最大30万円(税込)
   → 残りの70万円超は自己負担

「補助金でサイトを丸ごと作る」のではなく、「販路開拓のためのサイト投資の一部(最大30万円)を国が後押しする」 という規模感が正解です。

📌 補足:この「30万円・単独申請不可」は第20回(2026年)のルールです。過去の公募回では「補助金交付申請額の1/4(最大50万円)」など異なる規定だった時期があります。数字は毎年変わる前提で、必ず申請する公募回の要領を見てください。

4. 「販路開拓」の壁:対象になるサイト/ならないサイト

補助されるのは「販路開拓につながる」サイトだけです。公募要領の対象例・対象外例を、発注者向けに整理します。

対象になり得る(販路開拓につながる)対象外になり得る
商品販売のための自社ウェブサイトの作成・更新単なる会社紹介・PR目的のみのサイト
ECサイトの構築、ECに載せる宣材写真の制作販売そのものを目的としたシステム開発
効果や作業内容が明確なSEO対策新たな販路開拓につながらない取替え更新
顧客管理システム・アプリケーション開発(販路開拓に資するもの)サイト・システムに関するコンサル/助言費用
業務効率化のためのソフトウェア家庭・一般事務用ソフト、既存ソフトの更新料

もう一つ重要な落とし穴があります。公募要領は 「補助事業期間内に運用に至らなかったホームページ・ランディングページ」は対象外 と明記しています。つまり 作って終わりではなく、期間内に公開して実際に販路開拓の取組を回すことまでが要件です。発注者としては「納品=ゴール」ではなく「公開・運用開始まで期間内に間に合うスケジュール」で発注する必要があります。

5. 一人社長のHP/EC/予約システムをどう設計するか

ここからが発注者の実務です。レガシー産業のDXでも痛感しましたが、技術選定と費用配分は「補助対象になる部分/ならない部分」の切り分けから始まります(この考え方はレガシー産業DXの技術選定フレームワークで詳述しています)。

5-1. HP/コーポレートサイト

会社案内“だけ”のサイトは対象外リスクが高いです。「商品・サービスを販売するページ」「問い合わせ・受注につながる導線」 を主役に据え、販路開拓の取組として説明できる形にします。デザイン刷新そのものより、「このページで新規顧客をどう獲得するか」を経営計画に書けるかが分かれ目です。

5-2. ECサイト

ECは制度と最も相性が良い領域です。ただし、Shopify等のSaaSで作る場合、**補助対象になりやすいのは「初期構築・開発の外注費」**で、月額利用料などランニングコストは対象外・按分の扱いになりがちです。契約期間が補助事業期間を越えるソフトウェア使用権は「按分等の方式で補助事業期間分のみ」が対象と定められています。発注段階で 初期費用と月額費用を明細で分けるよう制作会社に依頼しておくと、後の申請がスムーズです。

5-3. 予約システム/業務システム

予約システムや顧客管理システムは、「販路開拓等を行うためのシステム(オフライン含む)の開発・構築」に該当し得ます。対象例にも「顧客管理システムの構築」「アプリケーション開発」が挙がっています。ただし 「販売そのものを目的としたシステム開発」は対象外とされており、線引きは微妙です。予約システムが“新規顧客の獲得・販路拡大”にどう寄与するかを経営計画で説明できるかが鍵で、最終判断は必ず事務局に確認してください。

6. 30万円上限を踏まえた発注設計

「30万円の壁」があるからこそ、発注設計はシンプルです。

【推奨】小さく作って、公開して、回す
  1. 販路開拓に直結する最小構成(MVP)で発注
  2. ウェブサイト関連費は補助金30万円枠に収める設計
  3. 残りの枠(広報費など他費目)と組み合わせて申請
  4. 期間内に公開 → 販路開拓の取組を実際に開始

一人 × 生成AI(Claude Code)を前提にすると、同じ予算でも作れる範囲は広がります。私自身、AIを実装のアクセラレーターに使いながら人手の検証ゲートで品質を担保する進め方で、決済プラットフォームで本番二重課金0件を達成した経験があります。補助金の限られた枠でも、要点を絞れば「小さく作って早く公開し、販路開拓を回す」は十分現実的です。

発注者が資金繰りで必ず押さえるべき2点も再掲します。

  • 後払い:補助金は実績報告後の精算払い。一度は全額を自己資金で立て替える前提で計画する。
  • 処分制限財産:50万円(税抜き)以上で作ったサイト・システムは、通常5年間、事務局承認なしに廃棄・譲渡・目的外利用ができない。作り替え自体(目的達成に必要な改良・機能強化)は処分に当たらないが、大幅なリニューアルや廃止の予定があるなら要注意。

7. スケジュールと申請の流れ(第20回)

第20回公募のスケジュールは次の通りです(変更の可能性あり・要公式確認)。

項目期日
公募要領公開2026年5月27日
事業支援計画書(様式4)発行の受付締切2026年12月4日
申請受付開始2026年11月5日
申請受付締切2026年12月15日 17:00

発注者が見落としがちなのが 様式4(事業支援計画書) です。この補助金は「商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む」ことが前提で、地域の商工会・商工会議所に様式4の発行を依頼する必要があります。様式4の発行締切(12月4日)は申請締切(12月15日)より前にあるため、逆算して早めに動く必要があります。

経営計画の策定
   ↓
商工会・商工会議所へ様式4の発行依頼(〜12/4)
   ↓
電子申請で提出(〜12/15 17:00)
   ↓
審査 → 交付決定(採択発表から概ね1〜2か月)
   ↓
補助事業の実施(発注・制作・公開・販路開拓)
   ↓
実績報告 → 補助金の精算払い(後払い)

8. よくある誤解と失敗パターン

誤解実際
「補助金でサイトを丸ごと無料で作れる」補助率2/3・ウェブは補助金上限30万円。大半は自己負担
「サイトだけ申請すればいい」ウェブサイト関連費は単独申請不可。他費目との組み合わせが必須
「会社の立派なコーポレートサイトを作る」販路開拓につながらないPR目的は対象外リスク
「納品されれば補助対象」期間内に公開・運用しないと対象外になり得る
「採択されればすぐ入金される」後払い。立て替え資金が必要
「作った後は自由に作り替えできる」50万円以上は処分制限財産(通常5年)

補助金は「先に販路開拓の絵を描き、その手段として最小構成のサイト・システムを発注し、公開して回す」設計にはめれば、一人社長でも十分に活かせます。逆に「補助金ありき」でリッチなサイトを丸ごと作ろうとすると、上限・単独申請不可・販路開拓要件・後払いの4点でつまずきます。

筆者はIT導入支援事業者ではなく、補助金の申請代行は行いません。 本記事は発注者(システムやサイトを作りたい事業者)の意思決定を支援する、中立の解説です。制度の詳細・最新の補助率・上限額・スケジュールは、必ず公式の公募要領でご確認ください。その上で「販路開拓のために、限られた予算で何を・どこまで作るべきか」という発注の設計でお困りなら、無料相談・DX診断でご一緒に整理できます(申請支援ではなく、作るものの中身と優先順位の相談です)。

よくある質問

持続化補助金でホームページやECサイトは作れますか?
作れる可能性はあります。ホームページ・ECサイト・システムは『ウェブサイト関連費』として補助対象になり得ます。ただし第20回(2026年)公募要領では、この費目だけの単独申請はできず、補助金申請額の上限も30万円(税込)と定められています。金額や条件は公募回で変わるため、必ず最新の公式公募要領でご確認ください。
サイト制作費の全額が補助されますか?
全額は補助されません。通常枠の補助率は2/3で、残りは自己負担です。加えてウェブサイト関連費として申請できる補助金額には上限(第20回は30万円・税込)があり、この費目単独では申請できません。補助金は後払いのため、いったんは全額を自己資金で立て替える前提で資金計画を立ててください。
予約システムや業務システムも対象になりますか?
販路開拓につながるウェブサイト・ECサイト・システム(オフライン含む)の開発は、ウェブサイト関連費の対象例に含まれています。予約システムや顧客管理システムも、販路開拓との結びつきを経営計画で示せれば対象になり得ます。ただし販売そのものを目的としたシステム開発などは対象外とされており、最終判断は公募要領と事務局の確認が必要です。
会社紹介のホームページを作りたいのですが対象ですか?
単なる会社PRや営業活動のためのサイトは対象外になり得ます。この補助金は『販路開拓』が主目的で、対象になるのは売上・新規顧客につながる取組です。商品・サービスの販売や新規販路の獲得にサイトがどう貢献するかを経営計画で説明できることが前提になります。
作ったサイトは自由に作り替えたり閉じたりできますか?
50万円(税抜き)以上で作成・更新したサイトやシステムは『処分制限財産』に該当し、通常は取得日から5年間、事務局の承認なしに処分(廃棄・譲渡・目的外利用等)ができません。承認を得ずに処分すると補助金の返還を求められることがあります。補助事業の目的達成に必要な改良・機能強化は処分に当たりません。

参考文献

友田

友田 陽大

経済産業大臣賞 受賞プロダクト開発者。TypeScript + Python + AWS で、SaaS・業界DX・実用レベルの生成AI(RAG)を、要件定義からインフラ・運用まで一人で完遂します。

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